INJ講師ソテイーヴン先生のカンボジア語ワンポイントレッスン&コラム
Vol.5 山と寺院 (プノムとプラサート)
■今回のクメール語フレーズ
■基本文形
主語 + 動詞 + 目的語
■単語
「ភ្នំ = Phnom」「山」という言葉は古代クメール語の「វ្នំ =Vnom」から進化しました。
このように進化したクメール語はたくさんあります。
「វ =V」の字から「ព =P」になり、そして「ភ =Ph」になりました。
たとえば、古代クメール語の「វ្រះ =Vreah」は「ព្រះ =Preah」になりました。
「វិមាន = Vimean」は「ពិមាន = Pimean」になり、そして「ភិមាន =Phimean」に進化しました。
それから、「ប្រាសាទភិមានអាកាស =ピミアン・アカス」の寺院などです。現在使っている「Phnom」には、古代クメール語「Vnom」のような深い意味はありません。
古代クメール時代は、「Vnom」には、とても深い意味があり、インドの信仰では「Phnom」は神様の家です。
「Phnom」は地軸と信じられており、「Phnom Meru =須弥山」と呼ばれています(現代のクメール人は「Phnom Someru」と呼んでいます)。
アンコール時代の碑文の中には「Vnom」に関係のある言葉がたくさん書かれました。これについては長く語りませんが、「Phnom」が神々の住む場所であることを確かめるだけです。
古代クメールはインド文化より強い影響を受けたので、クメール人の考え方もインドと同様に信じていました。たとえば、「アンコールワット」の建築にもその信仰をはっきりと見ることができます。アンコールワットの中央本殿はヒンドウー教の宇宙の中心で須弥山を象徴します。アンコールワットの中央本殿は神々が住む場所で、その時代は王様が色々な儀式を行なった神聖なところです。
クメール古代の建物の呼ぶための「プラサート」という言葉は、サンスクリット語からの借用語です。「プラサート」という言葉は、プレ・アンコール時代からサンスクリット語と古代クメール語の両方の碑文に用いられていました。
古代クメール碑文の中の「プノム」は、「プラサート」と同様の意味です。たとえば、「Kloñ Vnam」という表現は「寺院に対して責任がある人」という意味であることが碑文の中で書かれています。一般に「プラサート」は日本語で「寺院(または遺跡、英語の【Ruins】という)」を意味しますが、サンスクリット語とクメール語の意味には重要な定義があります。なぜならば「プラサート」は神々の住む神聖な住まいだからです。
したがって、「プラサート」は日本語で「寺院、祠堂、お堂」、そして英語では「the temple, the sanctuary」と訳すことができます。
「寺院」建造の目的は宗教とつながっているのです。ほとんどのクメールの寺院は、神々に捧げるために建てられました。ですから、「プラサート」または「プノム」に対するクメール人の思想は非常に深いです。
山の上に寺院を建っていたプノム・クロム寺院(10世紀初) 空から撮った写真です。
アンコールワット(12世紀)。神々が住む場所の中央本殿です。プノム・バケーン寺院から撮った写真です。
バコン寺院(ロリュオス)、プノム・クサッチ = 砂山
須弥山(メール山)を象徴して5つ作られ、小宇宙を表す。
つの砂山はアンコールワットの5つ塔の中央本殿を同じイメージです。
カンボジアのお正月に砂山を作って、儀式を行なっています。